いくつ曲がり角を曲がったか、もはやぜんぜん覚えていなかった。
峠道はひたすらに続き、どこまで登ればいいのか見当もつかない状態。
松姫峠の名称は、戦国時代に武田氏が滅亡した際に松姫と言う姫様が落ち延びるためにこの峠を越えたことに由来するそうだが、その姫様の苦労は半端なかっただろうな、と上りつつぼんやり考える。
すでに深城ダムを過ぎてから2時間近く経過している。峠は依然として見えないものの、まさか永遠に登りが続くわけではないだろう、と考えて、小まめに休憩を取りながら地道に登り続けていく。
そして何度目かの休憩の時、ふと後ろを振り向いてみれば、随分と高いところまでやってきたことに気がつく。
(写真ではわからないですが、ここからは今まで自分が歩き続けた道も見下ろすことができました。それに気がついた時は「よくここまで登ってきたなー」と、感慨もひとしおでしたね)
こうして徐々に高さを実感できるようになったことに、勇気づけられつつ曲がった何度目かのカーブ。
すると続くのはまっすぐな道、さらに道が途中から下りに転じている!
こりゃついに峠にたどり着いたぞ!! と思ったとたん、達成感やその他もろもろから、思わず「よっしゃー!!」や「勝ったぞー!!」、そして何故だか「ざまぁみろ!!」等々と絶叫!!! (今振り返ると、すごい変なテンションだったと思います…)
けれど、このように1人で騒々しく峠を示した石碑まで行くと、向こう側から来て休憩している先客が…
その人は背を向けて山を眺めているため、何を考えているかはわからない。けれどどう考えても絶対聞こえていたよな、と思うと急に気恥ずかしくなり、小さくなってコソコソと記念撮影。
(謝りに行くのもどうかと思って早々に下ってしまいましたが、多分ぎょっとされていただろうな、と思います…)
そんな事情もあって、休憩もそこそこに出発。今までひたすら登り続けてきた分、今度は延々と下り坂が続いていく。
けれど、いつ曲がり角から対向車がやってくるかわからない。なのでコースアウトしないように、適度にブレーキをかけてスピードを殺していく。すると今度は、ブレーキを握りしめ続けたせいで手も痛み出してきた。なので所々で停車して、手をほぐしつつ進むことにする。
けど、このような苦労があっても下り坂は爽快そのもの。今までの苦労が報われたような達成感と共に、ずんずん快調に駆け下りていく。
すると今度は、前方にうずくまっているような何者かがいる。
人間にしては小さいな、とよく見てみると、何と野生の猿の群れ!
群れは合計で15~20匹程度で、子育て中なのか、母猿と思しき猿の背中に子猿がへばりついていたりもした。自動車のように、あらかじめ音が聞こえたら猿たちも逃げていたかもしれないが、気がついた時には群れの中を突っ切るような格好になってしまう。
猿も驚いたのだろうけど、どう考えても威嚇的な「あ、こりゃ友好的でない」とわかる叫び声をあげている。群れは分散しており、曲がり角を曲がるたびに4,5匹の新たな猿に遭遇、その度に叫び声をあげられる状態。
これは停まったりしたら厄介なんじゃないか、咄嗟にそう判断し、なるべく猿と距離がとりつつスピードアップして走り抜ける。幸い猿も叫び声はあげるものの、こちらに襲いかかるようなことはなく。何事もなくその場を切り抜けることができた。
下り坂だから良かったものの、もし上り坂で遭遇したらどうなっていたか…
そのようなことも考えつつ、その後まもなく小菅村に到着。何とか後輩たちの部活に合流することができた。
その後は後輩たちの練習に参加し、8月2日の午前練習が終わった後に帰宅することに。
小菅から奥多摩駅までは20km程度、加えて小菅方面からだと下り坂が基調となるため、そこまで大変でもない道のり。
ただ、その際ルートとなる青梅街道はかなりトラックの往来が多く、加えてトンネルは歩道が狭くて通行にかなりプレッシャーがかかる状態。
車待ちをして、車の流れが途切れてからトンネルに入るようにしたものの、それでも長いトンネルでは後ろから車に追い越されてしまう。トンネル内で反響する車のエンジン音は、実際かなりの恐怖感。
※ちなみにこの記事を書く際に調べたところ、いくつかのトンネルは迂回することが可能なようです。事前に知っておけば良かったです…
こうして実際の距離以上に疲弊しつつも、なんとか14時半頃に奥多摩駅に到着。
(なんとか無事、ここまで着くことができました)
ここから自宅近辺まで自転車を輪行し、こうして無事、初の峠チャレンジを終えることができた。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
まさか動物園以外で猿に遭うことはないと思っていたので、遭遇した際は本当にビックリしました。けど山奥に入れば野生動物がいるのは当たり前で、ひょっとしたら熊に遭遇する可能性だってあったのですよね…
初めての峠行きは、色々と失敗したことも多かったです。それらの反省点も、また改めてまとめたいと思います~